FT-101Z系のキーイング時の波形は?

                                                                                                                  
FT-ONEのキーイング波形は完璧でしたがFT-101Z系ではどうでしょうか?短点を送出してMOXとVOXのモードで観察しました。
観測して判明した事はVOXモードである波形の歪はMOXモードではなくなる事でした。
この事から波形歪を発生しないキーイング方法にするヒントが考えられます。
即ちキーイングするたびに受信状態からMOX状態に高速でモードを変換する で解決する筈です。
先ずキーヤーの出力波形でオシロのトリガー信号です。
約30mSの短点信号です。
左端の下がりの信号の縁でトリガーしています。
横軸は一目盛が20mSです。
VOXモードで短点一個を送出した時の出力波形です。
波形の前縁が歪んでいます。
いわゆる Start Up Distortion 前縁の歪 があります。
波形が歪んでる以外にも遅延があります。
約16mSの遅延です。

VOXモードとはキーイングに従ってトーンゲネレーターが動作しその低周波信号でVOX回路を駆動し送受転換動作を司る です。
従ってキーヤー信号の前縁から少し遅れて送信出力が出ます。
この遅れは低速送信の場合は問題なくても 高速になると顕著に効いてきて頭切れ現象が発生しますから変な符号になります。
例えば J  を送信したつもりが O になったりします。
MOXモードで同じく短点一個を送出した時の波形です。
前縁の歪も遅延もありません
機器を送信状態に変換してから キーイングするとこの様に正常な波形になる事がわかります。
この様な極めて理想的な信号波形は回路構成で何とかなります。
しかしどうするかは十分に検討する必要があります。
VOXモードで短点二個を送出した時の波形です。
最初の短点の先端に一個の時の波形と同じ歪みが観測されます。
二個目の短点については問題ないです。
MOXモードで同じく短点二個を送出した時の波形です。
ご覧の様に前縁の波形歪も遅延もありません。
キーイング波形に応じて送信機出力波形が送出されています。
常にこの状態を維持出来れば理想です。
実際には前側にも後側にも多少の遅延時間を設ける事になるでしょう。
FT-ONE キーイングの様な波形になります。

以上の現象が生ずる理由は次の様な観測結果で分かります。

FT-101Zシリーズの動作中の信号波形を観測すると問題がある事が判明します。
実際の観測波形です。色が違うのは加工したからですが。
上からキーヤー出力。
三番目がキャリヤー発生回路のRF信号波形です。
その結果 二番目の波形の様になります。
これはドライバー12BY7Aの入力信号波形です。
キャリヤーもRF信号も遅延があると同時に大きく歪んでいます。
こうなる原因は次の通りです。
キーヤー信号で何もかも動作させる為に回路の工夫が足りないからです。
即ち キー信号でアンプ系のグリッドバイアスを送信時に適した電圧にスイッチすると同時にトーンオシレーターをトリガーしその信号でVOX回路経由で送受転換リレーを受信から送信に切り替える動作をしています。
従って各回路の途中に存在する動作時間の差が影響しています。